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論文捏造問題

STAP細胞に代表される論文捏造問題が取り沙汰され、日本の生命科学分野が危機に瀕しています。帝京大学医学部名誉教授・杉晴夫氏は、著書「論文捏造はなぜ起きたのか?」で、論文捏造問題の根底に、国立大学の独立行政法人化、不条理な成果主義、見せかけの競争的研究資金などにより、研究者が昔のように腰を据えて研究できる環境が奪われている事実が存在すると指摘しています。連日メディアで報道されたSTAP問題、理研の幹部や小保方氏の会見を見ていて、何とも言えない違和感を感じていたのですが、杉晴夫氏の本を読んでその違和感が何なのかがはっきりしました。それは、STAP問題はあくまでも氷山の一角で、その根底には明治時代からの生命科学の発展と今日に至る科学行政の腐敗があり、その本質を隠して、さも小保方氏一人を悪人のように仕立て上げた理研とそれを大々的に報じたメディアの在り方です。我々がメディアから受ける情報は、そのほとんどが事実であると信じています。ただ、それが問題の本質であるか否かは我々が自ら勉強していかないと絶対に分からないことです。この問題を通して、本質を知ることの重要性と本質を知らないことの恐ろしさを強く感じました。